2020.4.7
ここにあったもの

先週の日曜日の夕方。急に家の裏の草を抜こうと思い立った。

 

この家に引っ越してもうすぐ1年になる。平家の古い外人住宅で老朽化も進んでいるが、窓から見える植物に心を奪われた。

沖縄の植物は年中瑞々しく美しい。が、成長スピードも凄まじく、草を刈ってもすぐに元どおり。少し目を離した隙にジャングルと化している。気付けば引っ越してきて2回ほどしか草刈りはしていなかった。
なんでだろう。本当に急に、土にピントが合ったのだ。

今まで何度も何度も植物を眺めてきたのに、土の上に足を踏み入れることが無かった。
コロナウィルスがじわりじわりと沖縄にもやって来た頃、「土に触れなければいけない」と思った。日曜日の16時に家に帰って来てから夕飯の支度もせずに草を抜き始めた。

沢山の虫がぴょんぴょん跳ねている。小さいミミズはピチピチ、大きいミミズはうねうねと上手に土の中に潜っていく。何年もほったらかしにされた土地は草と根に守られ、落ち葉はミミズや虫や微生物によって分解されてふかふかな土を作り出していた。
ここにあった。この土はずっとここにあったのだ。
そして私は土の上に生きているということを完全に忘れていた。
土をほぐしながら「これは地球のマッサージ」なんて結構真面目に考えたりして、あっという間に2時間が過ぎていた。

土は海のようだった。

真っ暗な地中には虫やミミズや目に見えない微生物が身を潜めている。光を受けた跳び虫はキラキラと海面のようにも見えた。
海は生命の源だという。そして土は命を育み、命は土へと還る。
始まりと終わりは巡って端のない輪の形をしているのかもしれない。
すっかり土からエネルギーをいただいて、日々草むしりに勤しんでいる。
筋肉痛が心地良い春。

地中にあったもの